情報セキュリティ事件・事故のまとめ

標的型メール攻撃、内部不正・不注意、ビジネスメール詐欺、サプライチェーンの弱点、システム障害、サイバー攻撃などなど

二重に脅迫するランサムウェアと被害事例についてまとめてみた

ランサムウェア(英:Ransomware)とは「身代金要求型コンピューターウイルス」のことでマルウェアの一種。感染したコンピュータは、利用者はシステムへのアクセスを制限される。この制限を解除するため、攻撃者は被害者に制限解除のために金銭を支払うよう要求する。最近では、攻撃者は企業・組織を標的とし、事業継続のため金銭を支払わざるを得ない状況を作り上げ、より確実に、かつ高額な身代金を得ようとする。

概要

ランサムウェア攻撃は海外で多数の企業・組織の被害が報道され、国内も例外ではない。この攻撃は、組織の規模、種類関係なく、ITシステムにより事業が成り立っている企業・組織が標的になる。
ランサムウェア攻撃タイプには以下の二種類がある

項番 ランサムウェアのタイプ 使用不可にする対象 脅迫要求内容
1 ファイル暗号化型 画像・文書・データ等 データ復旧のために金を払え
2 操作ロック型 端末そのもの ロック解除のために金を払え
3 情報窃取型 コンプライアンス 機密を保持のために金を払え

ランサムウェアは項番1の文書、画像、データファイルを暗号化するタイプが多い。2018年からより明確に標的を企業・組織に定め、身代金を支払わざるを得ないような状況を作り出すため、次の2つの新たな攻撃手口を取り入れている。(~ 「人手によるランサムウェア攻撃」と「二重の脅迫」~(IPA))

在宅ワークが進む緊急事態宣言の後、セキュリティ対策が追い付かない企業が多い中、狙われる可能性も増大している。
なお、ランサムウェア攻撃はおおむね以下の手順にて行われる。

攻撃手順
  1. ネットワークへの侵入
  2. ネットワーク内の侵害範囲拡大
  3. データの窃取(※二重の脅迫の場合)
  4. データの暗号化・システム停止
  5. 窃取したデータの公開(※二重の脅迫の場合)

感染経緯については大まか以下の通りが考えられる。

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ランサムウェアへの感染経路(作図:紫電一閃)

2020年以降の具体的な事例

- カプコン株式会社(現在更新情報あり)
11月4日カプコンは第三者からの不正アクセスにより社内システムの一部に障害が発生したと発表。*1

  • 2020年11月2日未明より、カプコン社内のグループシステム(メールシステム、ファイルサーバー)の一部でアクセス障害が発生。
  • 障害に関連して第三者からの不正アクセス行為が確認されていると発表。
  • 2020年11月4日時点で顧客情報の流出は確認されていない。
  • カプコン社ゲームをプレイするためのインターネット接続、自社サイトへの悪影響は発生していない。
  • システム障害同日に大阪府警に被害を相談

- 塩野義製薬株式会社(台湾現地法人

  • 台湾現地法人サイバー攻撃を受け、盗まれた情報の一部がインターネット上に公開された。
  • ダークウェブ上に医療機器の輸入許可証や社員の在留許可証が公開された。*2

引用・出典・注釈

【注意喚起】事業継続を脅かす新たなランサムウェア攻撃について,IPA(2020年8月24日閲覧)

脚注・外部リンク