情報セキュリティ事件・事故のまとめ

標的型メール攻撃、内部不正・不注意、ビジネスメール詐欺、サプライチェーンの弱点、システム障害、サイバー攻撃などなど

Go To トラベル地域共通電子クーポンの不正取得・不正利用事案

『Go To トラベルキャンペーン』にて発行している「地域共通クーポン」の不正取得を目的とした不正予約事案が発生している。
現時点で各宿泊施設では被害が出ているため、警戒が必要だ。

観光庁がクーポン取得者の本人確認を強化した11月25日以降も不正が起きていることがわかった。旅行会社からは、電子クーポンから紙のクーポンに切り替える動きが出ている。
【独自】GoTo電子クーポン、本人確認強化後も不正続く…「紙」に切り替える動き : 社会 : ニュース : 読売新聞オンライン

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電子クーポン不正取得の手口(作図:紫電一閃)


※『電子クーポン』とはチェックイン当日の午後3時以降に、予約番号などを入力すると発行される。
この電子クーポンは、旅行先の近隣の自治体にある登録店で食事や買い物などをする際に、QRコードを読み込むことで使用できる。

事象・経緯

宿泊する意思がないのに、「地域共通クーポンが電子クーポンにて発行されている」予約サイトなどを通じて宿泊予約をし、宿泊当日は無断キャンセルが行われている。なお、予約内容には以下の特長がある。

  1. 複数人且つ数日の連泊
  2. 住所が都道府県のみで、郵便番号記載がない
  3. 連絡先電話番号が現在利用されていない、或は他人、別人

問題・原因・犯行手口

予約した宿泊日当日の午後3時に「地域共通クーポン」が発行される。
地域共通クーポンは現金消費に充当できるため、不正に取得し、利用される。

被害状況・影響

  • 館山リゾートホテル:10月25日から8名で5連泊、総額63万円の予約を無断キャンセル、食材などを廃棄
  • 『地域共通クーポン』9万5000円分が、予約した人物に発行された。
  • 予約の際に登録されていた都内の住所は独居老人宅であったため、質問したところ、予約については全く見おぼえないと供述

対処・解決・回避方法

◯不正予約が発覚したIPアドレスブラックリスト化と予約の抑制
◯高額・複数連泊など不正の疑われる予約記録の事前洗い出しと不正予約チェックの実行
◯検知できた不正予約の取り消し対応
観光庁およびGo To トラベル事務局を通した警察などの捜査機関との連携(不正に地域クーポンが利用された予約の捜査機関への協力)
〇地域電子クーポンはSMSの認証を11月25日以降に導入する*1

〇神奈川県藤沢市の職業不詳、男性容疑者は「Go Toトラベル」を利用したように装い、宿泊を無断でキャンセルして利用者に発行される「地域共通クーポン」、およそ54万円分をだまし取ったとして電子計算機使用詐欺の疑い*2

宿泊施設は以下の対策を

●不正と思われる予約への電話確認
●事前決済の切り替え

更新履歴

2020年11月20日 対処・解決・回避方法に11月25日より電子クーポンにSMS認証を含めると記載した

2020年12月2日 初めて逮捕者について記載

脚注・引用・出典